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ユーリ・N・ハラオウンの笑顔  第2話 -兄弟-

 カリッという音とともに私はすこし焼きすぎた食パンににかぶりつきました。

私の目の前には食パン、目玉焼き、牛乳という、朝ごはんのメニューとしては完ぺきな品揃えが机の上にならんでます。ですが今は昼の一時、こんな真昼間に朝ごはんのメニューを食べると体内時計がくるってしまいそうです。現に今、まだ少し眠たいです。

ほわぁ~、と私はつい出てしまった欠伸を抑えるためにも牛乳を口にしました。

「まだ、寝足りないのかい?昨日あんな事があったとはいえもう10時間近くは寝てるぞ?」

ちょうど正面の席にすわっている兄が珈琲を飲みながらすこし呆れた眼で私を見ています。

その足を組みながら珈琲を飲む姿から「出来る大人」のオーラがほとばしってます。もはや誰がこの男を14歳だと思うのでしょう…

「兄さん…その格好おっさんくさいです。ほのかに加齢臭がします。…アムッ」
私は食パンをまた齧りながら言いました。

すると兄は少しムッとしながら、口を開きます。
「よけいなお世話だよユーリ。それにしても君は女の子なんだから言葉使いに気をつけるように」

「ふぉふぃらふぉふぉ、ふぉふぇふぃふぁふぉふぇふぁふぇふ。ふぉうふぃふぇふぁ、ふぉんふぁふぃふぁんふぃふふふぁんふぇふぇふふぁふぃふぃふぇふふぇ(こちこそ、よけいなお世話です。それにしてもこんな時間に来るなんて珍しいですね?)」

「ほら、そんな風に口にいれてしゃべらない」

「ふぁーい」

わたしは返事をしながら食パンを飲み込みます
もぐもぐごきゅん

「こんな時間に兄さんが私に会いに来るなんて珍しいですね?」
わたしは先ほどまでの質問をようやく口に出せました。

「ちょうど仕事がひと段落ついてね、S2Uも整備中だから顔をだそうと思ってね」

兄は少し照れくさそうに返事をしてくれました。
やっぱりクロノお兄ちゃんは優しいです。本当なら仕事中忙しいのにむりして来てくれたのでしょう。

「なるほど、わざわざありがとうございます。クロノお兄ちゃん」
わたしはそう返事をしながら牛乳パックを手に取りそのまま口をつけて飲みました。

ぷはぁ、やっぱり牛乳はおいしいです。


すると、どうやら今の行動が兄にはお冠らしく

「まったく、少しは女の子らしくしたらどうだい?」
ハァ、と兄が溜息をつきました。


これには私もムッとします

「しょうがないじゃないですか。私のレアスキル、私が小さな頃は『あなた、可愛いわね~』『将来、アイドルになれるわよ』ですんでましたけど、7歳の頃から『なんか、ムラムラしてきたわ…』『本当に可愛い…食べちゃいたいぐらい…』という風に危なくなって、9歳をこえると『お姉さんといいことしない?』やら『あなたの初めて貰ってあ・げ・る』なんて言われながら卑猥な言葉とともに襲われ続けたんですから、それで普通の女の子が生まれるわけがないじゃないですか…」

そう愚痴をこぼしながらわたしは目玉焼きに手をつけました。

「こちらでも出来るだけユーリが襲われないように気を付けてはいるんだがね…」

「昨日の事があってもそれがいえますか?危うくパージンを散らすところだったんですよ?まったく真昼間から襲われるなんて思いませんでした。そんなにギシギシアンアンしたいなら他の人とやってほしいです」

忘れもしない昨日、レアスキルに詳しいといわれている女性ドクターを管理局から紹介されたので、外出申請をして一人護衛をつけてもらい彼女の病院に訪れた瞬間、おそらくドクターの助手だと思われる女性が私の護衛は吹き飛ばし、その間にわたしはドクターに一瞬で組み伏せられてしまい、荒い息のドクターに危うく処女を散らすとこでした。
あの時兄が来るのが少しでも遅かったら今の清純な私はここにいません。

「だとしても、そうやってユーリはそんな下品な事を言う理由にならないと思うが?」
兄はそれでも私に少しでも女の子らしくいてもらいたいらしいです。
でも…

「小さな頃からパージンどころじゃない下品な単語を叫ばれながら性的に襲われ続けたら、意識しなくてもこんな風に日常でつい使ってしまいますよ…」

「それでも、母さんもできるだけユーリには淑女らしくいて欲しいらしいが…」

「この頃、お母さんが恐いんですよね…。なぜか母さんから獲物が美味しくなるのを待っているライオンのような雰囲気がでてるような気がするんです…」

「……」

「……」

「気のせいでは?」

「私に10歳の誕生日プレゼントと言いながら(性的に)襲ってきたリンディ母さんですよ?……まぁ、あの時は理性を取り戻した後、あやまってくれましたけど…」

「……」

「……」

沈黙が広がります。
あの時は酷いものでした。10歳の私の誕生日、母さんはどうやら急いで仕事を終わらせて疲労困憊の状態で私の所にやってきてくれました。それが私はうれしくて母さんに笑顔で抱きつきました。



それがいけなかったのでしょう。

いつもならお母さんは高い魔力のおかげか私のレアスキル「ミコポ」はかなり効きにくいはずなのですが、仕事の疲労で母さんはすこし弱っておりいつもより「ミコポ」が効きやすい状態でした。そこに私はお母さんに笑顔を見せるという、弱っている母に「ミコポ」最大出力をぶつける愚行を犯してしまいました。


そこから先はあまり思い出したくありません。二つ言える事は、この事件から時々母さんの瞳から怪しい眼光が見えること、管理局の職員から「管理局の緑のサキュパス」と恐れられるようになったことでしょうか

それを兄も思い出したのか苦虫をかみつぶしたような顔で沈黙してます。

お昼ののほほんとした空気が重苦しくなった瞬間でした


☆★☆★☆★☆★

私が朝ごはんを食べ終わり食器を洗っていると、先ほどまで5杯めの珈琲をちびちびと飲んでいた兄が立ち上がりました。

「仕事に行くのですか?」

「ああ、そろそろアースラでの長期パトロールの時期が近ずいてきてね。そのためにもいろいろと今のうちに書類を出しておかなきゃいけないんだ。」

「そうですか…もうそんな時期ですか…」

長期パトロール。それはどの管理局所属のパトロール艦も年に二回ほど行うものです。

いつもなら管理局管轄の世界をパトロールするのですが、この長期パトロールは少し遠くの管理局管轄外世界にパトロールに行くもので、いつものパトロールとは違う措置がとられています。まず行く前にいろいろな書類と遺書を書かされ、その後、特別な装備を渡されたり、強力な管理局員をつれていけたりとちょっとした事件ならすぐさま解決できる戦力を連れて行けます。

昔は長期パトロールも普通のパトロールと変わりがなかったのですが、管理局外世界出身である「タカアキ・ナイト・メア」が10年前にいろいろな世界を縦横無尽に動き回って暴れまわり、時には救援に向かうには遠すぎる所にある管理局所属の艦を襲って救援が行く前に全滅させられていたので、少し遠くの世界で強力な犯罪者やロストロギアにであっても救援が行くまで全滅しないようにするために、第二の「タカアキ・ナイト・メア」が出現したときに対処するためにもこの処置が行われているらしいです。

「今回はどんな戦力強化されたんですか?」
わたしはお皿を洗いながら兄に尋ねました。

「首都航空隊のエース、『ティーダ・ランスター』がわざわざ来てくれるらしい。」
兄は私の質問に答えながら先ほどまで珈琲の入ってたマグカップを渡してきます。

それを受け取りながらわたしは少し驚きました
「『ティーダ・ランスター』って、たしか十年前に『タカアキ・ナイト・メア』にさらわれそうになった妹を助けるために一人でヴォルゲンリッターの将を相手に取って見事撃退した方ですよね?」

「そうだね。まぁ彼はヴォルゲンリッターの将が手を抜いてくれたおかげで上手く逃げれただけであって、撃退はしてないって言ってたけどね」

「へぇ…」

それでも、おどろきです…
なんたって一騎当千で一対一では負けないとされているベルカの騎士、それもヴォルゲンリッター相手に出し抜いたんですから。

「でも、なんでわざわざこの長期パトロールに?」
私は兄から受け取ったマグカップを洗いながら聞きます。
むぅ、やっぱりコップ類は洗いにくいですね

「彼は母さんと知り合いらしくてね。それと彼のデバイスが強化されたからそれの試運転もかねているらしい」

「デバイスの強化?」

「彼のミッドチルダ式のデバイスにカートリッジシステムを組み込んだらしい」

「ほぇー…カートリッジシステムはベルカ式の専売特許なのに、ミッド式にもつけれたんですねぇ…」

そうやって雑談してると兄はどうも身支度が出来たらしく玄関に向かっていきます。

「あっそうでした。今回はどんな遺書を書きましたか?」
水道の蛇口を止め私も玄関の方に向かいながら兄に聞きました。

すると兄は苦笑しながら答えてくれました。
「ああ、いつも通りの家族への感謝と僕の貯金は管理局に寄付してくれってね」

「ひどいです、もしクロノお兄ちゃんの貯金が手に入ったら、部屋を新しくしてずっとごろごろしながら食っちゃ寝の夢のお生活ができるんですけどね」

「またこの部屋を改造するつもりかい?もう3LDKにまで部屋を増築したんだから充分だろう。それに僕の貯金は死んでも僕のものだからね好きに使わせてもらうよ。」

そうやって冗談を言いあいながら兄が玄関で靴を履き終えたところで、何かを思い出したらしく私の方に向き直りました

「ちゃんと仕事するんだぞ妹。まだまだ翻訳する本は大量に残ってるんだからな」

「余計なお世話です。それに本も読むのすきですし翻訳作業も好きですけど…」

私は兄の横を通り抜けて玄関をあけました。

そこには大量の本棚が気の遠くなるほどの規模で並んでおり、数えきれないほどの本がそこにはあって…

「こんな膨大な量が未整理で置いてあるのを整理しながら翻訳しろなんてどんな鬼畜ですか。ここは無限書庫ですよ?無限にあるものをどうしろと」

「君が勝手に司書長室を増築工事をするからだ。こんな罰で済んだのをありがたく思え。そしてなぜか古代ベルカの文字を解読できる君自身の能力を怨むんだね」

兄からの呆れた声が無限書庫に響きました。








しょうがないじゃないですか、1LDKなんて育ち盛りの私には耐えられなかったんですから
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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