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ユーリ・N・ハラオウンの笑顔  第3話 -書庫-

「やっと終わりました…ほわぁ~…」
私は欠伸をしながら、今翻訳し終わった本を横に置ます

現在の時間7時。
あの後、兄が仕事に行った後私は黙々と仕事を始めました。
1日40冊翻訳。これが私に渡された罰です。
ノルマが出来た時は恐怖しましたが何とかなるものですね。

普通なら40冊は多いです.
ですが、私には私が使える数少ない魔法である速読魔法がありますし、マルチタスクで一気に5冊ほどできます。
それに私には仲間がいます。


私の頭の上にぷかぷかと浮かんでいる真っ白な本を掴み話しかけました。

「『ビブリオテーク』今日の翻訳し終えた分の整理、お願いできますか?」
《大丈夫です、お嬢様》
手につかんだ真っ白な本が返事をすると、真っ白な本は私の手を離れ、浮かびあがり空中を移動し始めます。

この本は『ビブリオテーク』。この無限書庫を管理している魔道書であり、私が翻訳した物を記録及び整理してくれている私の相棒です。
「今日も結構な数を翻訳しました…」

私は無限書庫の地べたに座りながら視界を自らの周りに向けるとそこには私を中心に塚のように様々な本が積み上げられていました。
どうやら本に集中しながら翻訳し終わった本から種類別にして、適当に自分の周りに本を置いたからこうなってしまったのでしょう。
ここに積み上げられている本はすべて古代ベルカの言葉で書かれている本で、今私が翻訳し終わった本達です。

ここにはこう言った古代ベルカ時代の書物などが大量にあり、とある管理局員いわく『世界の記憶を収めた場所』であるらしいです。
整理されていないのは難点ですが、確かに『世界の記憶を収めた場所』と言われてもおかしくないほどに探せば、大昔の歴史や戦記、いろいろなロストロギアの情報、効率のよい魔法の使用法や術式、などなど、研究者や歴史家、魔術師などいろいろな人が欲しがる知識が眠っている場所です。
これこそ管理局が管理を受けている世界の書籍やデータが全て収められた超巨大データベースである無限書庫のすごさといえましょう。

まぁ、探せればの話ですが…。
この無限書庫には難点が何個かあります。
もっとも大きなのは2つ


私はそう思い起こし先ほど翻訳し終えた今日のノルマである本達の一つをとりました。
その本の題名は『おいしい料理の仕方(初級編)』
内容も別にそこらの本屋に売っているような初心者のための料理本です。


そう、この無限書庫の難点の一つにして最大の難点。それは無尽蔵に集められた情報の多さにあります。
確かに先ほど述べたように管理局としてもとても重要な情報がここにはあります。
ですがそこらの本屋であるような内容の本がその何百倍もの数を占めているので探すのが困難を極めています。
おかげでこの無限書庫はすごいデータベースなのですがほとんど使えない代物と化しています。


「よっこいしょっと」
私は数時間ぶりに立ち上がり軽くのびをしました。
コキコキコキッ
う~、背中から良い音なりますねぇ…
そして私は軽くストレッチをしたあと、がらんとした無限書庫を見回します。
そこには本以外何もなく、誰ひとり動くものはなく、とても寂しげな空間がひろがっていました。今この無限図書館にいるのは私と『ビブリオテーク』だけ

難点2、司書がいない
そうこの無限書庫には誰ひとり正式な司書がいません。いちを私の役職は司書という事になっていますが、正式には民間協力者無限書庫臨時司書員であって正式な司書ではないです。司書免許すらもっていません。
別に仕事が厳しすぎるというわけではありません。
確かに無限書庫内の無限といっても過言ではない量の本を整理翻訳するのは、かなりの労力が必要です。ですが日々何十人かで仕事をしていったらかなりの量が整理できるでしょう。現に今日私は、ちょっとしたマルチタスクと速読魔法を使うだけで40冊翻訳できました。私に古代ベルカ語が完全に読めるというのもありますが、古代ベルカ語はそこまで難しくなく、もうほとんど解明されています。だからよほど難解な事が書かれていない限り翻訳は簡単です。それに古代ベルカ語ではなく今も普通に使われているミッド語で書かれた本もあるのでそんな本は翻訳などせずに整理するだけでいいのです。

なのに、なぜ司書がいないか…




それは今から五年前、ちょうど無限書庫に私が住みこみ始めて1年がたった頃にさかのぼります。
その頃の無限書庫は、司書は10人ほどおりました。
私は小さな頃、暇そうな司書を見つけてはよく遊び相手になってもい、彼らは苦笑しながらも私と遊んでくれたのを覚えています。そこで私はそんな司書から色々な魔法を教わりました。

そんなある日無限書庫に異変が起きました。
それは無制限に魔力素が生まれ、急に魔力素の濃度が上がったりと下がったりするというもので、そのせいで多い時には無限書庫内に魔力素が普通の3倍は存在するという事となってしまいました。そのせいで魔力ランクが低い人、Bランク以下が入るとあまりの魔力素の多さに気分を害して魔力酔いを起こしてしまう状況になり、無限書庫内においそれと入る事ができなくなりました。


それから司書が減っていきました。
Bランク以上の司書などいませんでしたので、減っていくのは当然でした。
そして司書はいなくなり最後に魔道書『ビブリオテーク』と私だけが無限書庫に残る事になりました。

ここに6歳のころから住みだして5年…
よく遊んでもらっていた司書達がいなくなり、悪化するレアスキルのせいでおいそれと外に出れなくなって寂しかった私の話し相手になってくれた『ビブリオテーク』には感謝しきれません


《お嬢様、整理が終わりました》
「うひゃ!」
いきなり、真上から『ビブリオテーク』の声が聞こえすこし驚きながら顔をあげると、そこには『ビブリオテーク』ともう一つ先ほどまで私が手にしていた『おいしい料理の仕方(初級編)』が浮かんでいました。

「そうですか早かったですね。それにしてもそれは?」
私は不思議に思いながら手を伸ばし『ビブリオテーク』から『おいしい料理の仕方(初級編)』を受け取ります。
すると『ビブリオテーク』は私の前にふわふわと降りてきて

《お嬢様がこの本の料理を作りたそうにしていたので、お持ちしてみたのですが…違いましたか?》
とすこし、申し訳なさそうに言いました。

『ビブリオテーク』の言葉にすこし驚き、私は少しの間黙ってしましました。
確かに作ってみたいとは思っていましたけど。まさか気がつかれているとは思ってもいませんでした。
さすが5年間の仲だといえましょう。

すると『ビブリオテーク』は、私の少しの沈黙のせいで自らが言った事が的外れだったのではないかと、フワフワと空中を不安そうに飛んでます。
私はそんな、『ビブリオテーク』にクスクスと笑います。

確か冷蔵庫の中は今すっからかんだった気がします。
レアスキルのせいで無限書庫から出られない私としては、食材などは知り合いに頼んで買ってきてもらうしかありません。今の時間は7時、時間的に遅いです。
今日はさすがに料理するのは無理そうですね

「ありがとう、『ビブリオテーク』…今度これで料理をしますね。」

そう私は言いながら『ビブリオテーク』をなでます。
《礼には及びませんお嬢様。それと今日は本のかたずけは私にお任せください!》
「ありがとう『ビブリオテーク』。それじゃあ先に帰ってるね、今日はお疲れ様です」
《おつかれさまです。お嬢様》

私はそう言って『ビブリオテーク』とわかれて『おいしい料理の仕方(初級編)』を司書長室に持って歩き始めました。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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