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ユーリ・N・ハラオウンの笑顔  第4話 -家族-

照明によって照らされた明るい廊下にフードを真正面から見ないと顔が見えないほど眼深に被った私が歩きます。
もちろん隣には『ビブリオテーク』がフワフワと浮きながらついてきてくれています。


「さて、今日は何を食べましょうか。」
私は今日の晩御飯を悩みました。
今、私が向かっているのは管理局本局の食堂です。私は自分で料理することが少ないので良く利用しているのです。
普段は人が多く、厄介なレアスキルがある私は歩きまわる事ができないため日中は食堂を使えないのですが、この時間帯になるとほとんど人がいなくなりこうして私も食堂をつかう事が出来ます。まぁ、いっさい会わない事はないのでこうしてフードをかぶり顔を隠してます。
なんとこのフードは私の友達の父親が作ってくれたすぐれもので、この服に魔力を通してフードを被ると何らかの魔法で、フードを取らない限り顔が見えなくなるというすぐれものです。難点は、背中の部分にでかでかと書かれた『じぇいるすかえりってぃ製』という文字でしょうか…


《お嬢様》
すると、横からビブリオテークが話しかけてきました。
どうやら、このままでは食堂についても悩んでしまうと考えたのでしよう。
「なんですか?ビブリオテーク?」
《前回は魚でしたので、肉料理はいかかでしょうか?》
「う~、私肉はあまり好きではないのですが…」
《好き嫌いはよくありませんぞ、お嬢様の兄上様も母上様も「なんで、ピーマンやニンジンは食べられるのに代替の小さな子の好きなお肉がきらいなのかしら?」といっておられましたぞ》
「小さくないです!」
《それは今関係ありません。お嬢様、野菜ばっかり食べていては体力や筋力がつきません》
「ベーコンやハムなら大丈夫です…」
《せめてひき肉ぐらい食べてください。この前、母上様が作ってくださったハンバーグをお嬢様が残しそうになったときの母上様の顔覚えてらっしゃいますか?
ほかにもそうです、たとえばこの前など…》
「うー…」

たしかにあの時のリンディ母さんの瞳を潤ませて今にも泣き出しそうな表情は忘れられません…
そして私がハンバーグを食べ終わった後、目薬を片手に『計画どうり…』という表情をしていたのも忘れられません…


それにしてもビブリオテークは私にとって相棒であり先生なのですが、時々このようにながながと説教をし始めるから困ります…。

そもそも、なぜ相棒であり先生であり家族なのかというと…
昔、私の経歴上あのクソ親父の関係者となっているのでおいそれと学校にも外にも出られなかったあの頃、私は古代ベルカの文字がすらすらと読める事から、無限書庫の絵本などのそこまで重要ではない本の翻訳をしていました。しかし翻訳した本の整理が上手くできずあたふたしたのを覚えています。
それを最初に手伝ってくれたのがビブリオテークでした。それから私は無限書庫で暮らすので必然的に無限書庫の魔道書であるビブリオテークと暮らすことになり、家族のようにビブリオテークとすごしました。
ですがその後、私がビブリオテークやその頃まだいた司書ととても仲良くなったころ、リンディ母さんは余りの忙しさから私と会う事も出来ないので、ビブリオテークや司書達に暇があったら私と遊んだりしてくれないか?と言ったのが悪夢の始まりです。

リンディ母さんの言葉をビブリオテークは何を勘違いしたのか、時々私に勉強を教えるようになりました。最初のころは、母や兄がいないときは翻訳しかする事がなかった私としては楽しかったのですが…時間がたつにつれ、ビブリオテークは本気で私にいろいろな勉強を教えるようになり…
《お嬢様、マナーのお勉強の時間です》
《お嬢様、お勉強のお時間です》
《お嬢様、魔法のお勉強の時間です》
《お嬢様》
《お嬢様》
《お嬢様》
そうやって、ビブリオテークは私に何処かのお姫様のためのような授業を受けさせました。
しばらくたつと私は勉強が嫌になって、ビブリオテークの授業から逃げ回るようになりました。
ですがビブリオテークは暇な司書に私を捕まえるように頼み、司書も面白がって私を追いかけまわすという鬼ごっこが始まるようになり、そして掴まった後は長いお説教…。
それが一時の間、不名誉ですが無限書庫の名物となっていました。


その後、リンディお母さんがビブリオテークにやりすぎと言うまでこの勉強地獄は続いたのを覚えています。

でもおかげで、今の私はやろうと思えば、マナー完ぺき、社交辞令ほぼ完ぺき、ダンス完ぺきという何処かのお姫様のような風に演じる事が出来ます。
まぁ、私はソファーにだらしなく転がりテレビを見ながらお菓子を食べるという、だらしない生活が一番なので、絶対に演じませんが

よって私にとってビブリオテークは、先生であり友人であり仕事の相棒であり家族でもあります。



と、ここまで昔の事を長々と回想してみたのですが、まだビブリオテークの説教は終わりません。
もう、精神がへろへろです…。ライフゼロです……

《そもそもお嬢様は…》
「あ、ちょ!まて!!」
「ユーリンにビブリンっス~!!」
食堂の入口も見えて、いい加減ビブリオテークの説教が本当に面倒になったころ、後ろから少し凛々しい声と舌足らずで元気なかわいらしい声が聞こえました。この独特の口調には聞き覚えがあります。

私はビブリオテークの説教を止めてくれた彼女に答えるべく笑顔で振り向きました。
「やー、チンクにウェンデぃ…」
「ばか!避けろ!!」
「へ?」
そこにはまっすぐ続く廊下を鉄のスケボーのような物にのって私の方に砲弾のように空中を飛んでくる少女の姿があり、そんなものが私に当たれば…

「どーん!!」
「ぶべらっ!」

吹き飛ぶ事は明白で、お腹に激しい衝撃を受けわたしはボールのようにきりもみ上に吹き飛びました。




わぁい、わたしお空を飛んでます~

…グシャ


《お嬢様ぁぁぁ!!》






★☆★☆★☆★☆

普段、この時間帯ならほとんど人ので静かなはずの食堂に怒声が響きました
「バカものが!!あれほど危険だからライディングボードは室内で使うなと姉はいっただろう!!」
「ぐす…ひっぐ……ごめんなさいっス…」
「姉に謝っても意味がないだろう!!」
「う…ぐす…」

目の前でお嬢様をひいた濃いピンクの髪をした小さな女の子を銀髪の少女が叱っております。
そんな光景を私、ビブリオテークは見ることしかできません

あの後、私達は食堂に場所を移し、すぐさまお嬢様の体に異常がないかスキャンしました。するとお嬢様はほとんど無傷ですんでいるのが分かり、私はホっといたしました。さすが無駄に頑丈なお嬢様です。ですがお腹を強打したせいかお嬢様は「お腹がぁ…」と言いながらトイレに駆け込んで行きました。お嬢様ぇ…

そんなお嬢様を呆然と見送った後、銀髪の少女…チンクお嬢様はピンクの髪をした女の子…ウェンディお嬢様をものすごい剣幕で叱り始めました。もう叱りはじめて10分になりましょうか、もうウェンディお嬢様は涙で可愛いらしい顔がぐしゃぐしゃです。

彼女たちとお嬢様の付き合いはもう三年ほど経ちます。
彼女たちの父は、お嬢様の父かもしれない『タカアキ・ナイト・メア』の関係者及び被害者で、そのせいか彼女たちとかかわりを持つ事も多く、それに彼女たちには彼女たちの体質上、お嬢様のレアスキル『ミコポ』が完全にきかないのでお嬢様も彼女たちとは気軽によく会っています。なので私も彼女たち事はよく知っているのですがさすがに今回の事は予想外でした。

ウェンディお嬢様は気軽かつ享楽的な性格をしておられますが、幼いながらもやってはいけない事とやってはいけない事は判断がつく子です。なのでこんな事をする子ではなかったはずなのですが、さきほどからチンクお嬢様の説教をきくかぎり、どうやら私たちと会う前に管理局員からの手渡しで服役中の父親から、先ほどお嬢様を吹き飛ばした空飛ぶ鉄板をウェンディお嬢様は貰ったらしく、それを早く試してみたいと思っている時にお嬢様と私を見つけ、ウェンディお嬢様は私たちに父親からもらったものを早く見せたくて、父親からもらった物の性能を自慢したくて、このような事が起こったらしいです。

今回の件は完全に悪いのはウェンディお嬢様であり、お嬢様は無駄に頑丈なので無事でしたが普通の人でしたら怪我をしていたかもしれません。ですがさすがに10分も説教をしているのを見ていると助けたくなってしまいます。

「こんな事にライディングボードを使うなら没収だ!」
そう言いチンクお嬢様はウェンディお嬢様のそばに置いてあった空飛ぶ鉄板をとりあげました。
どうやらお嬢様に突っ込んだ空飛ぶ鉄板はライディングボードというらしいです。
「や、やだっス!!それだけは勘弁してほしいっス!!」
すると先ほどまでおとなしく叱られたウェンディお嬢様が込みながらチンクお嬢様すがりつきます。

「あれほど、非殺傷に設定して、改造しているとはいえ元はこれが兵器だから気を付けるようにとあれほどドクターも私も言っただろう!!それを守れないのならしばらく私が預かる!」
「いやだっス!やだっス!」

ウェンディお嬢様とチンクお嬢様がライディングボードの端と端を持ち取りあいを始めました。私にはどちらを助ければいいのか分からず空中をフワフワと飛び回ってしまします。


すると、だれかが私を掴みました。後ろに意識を向けるとそこにはフードを被った怪しい人物がハンカチを片手に立っています。
お嬢様です。
「チンク、私は大丈夫ですよ。だからそこまで叱らないで上げてください」
お嬢様がチンクお嬢様に微笑みなが話しかけます。
「しかし…」
「ウェンディはもうこんなに反省してますから許してあげてください。ウェンディももうしないって約束できるよね?」
そうお嬢様は言ってしゃがみ、座り込んでしまったウェンディお嬢様に顔の高さをあわせました。
「もう…ひっぐ…しないっス……ユーリンごめんなさいっス…」
「はい、よくできました」
そう、お嬢様は微笑みウェンディお嬢様の涙を手に持ったハンカチで拭いてあげています。さすがお嬢様です。時々淑女らしからぬ行動や言動をしますが、やはりこうして優しく誰かを慰めている姿は何処かのお姫様のようで絵になりますね。
「はぁ…しょうがない。今回だけだぞ次はないからな」
すると、チンクお嬢様が苦笑しながらウェンディお嬢様にライディングボードを渡しました。
「わかったっス!!」
するとウェンディお嬢様は元気に返事をしました。
やはり、ウェンディお嬢様は泣いているよりも、こうやって元気な方が一番です。














それにしてもお嬢様、さすがに「お腹が…」といいながらトイレに飛び込むのは女性としてどうかと思いますぞ?
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テーマ : 二次創作
ジャンル : 小説・文学

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